"Bunun" Cultural and Educational Foundation, Taiwan
台湾原住民布農(ブヌン)族のパシブッブという歌は、アワの豊年祭の祈祷の時に歌われる八部合唱です。この八部合唱は世界でも稀に見る合唱方法であり、現在世界で非常に高い評価を受けています。1952年、作曲家の黒澤隆朝氏は、ブヌン族のパシブッブを国連の文教組織へ送り、著名な音楽家に聴かせました。彼らは複雑な和音によってこの八部合唱が構成されていることに大変驚きました。当時西洋の音楽家は、音楽の起源は単音から双音へと発展したと考えられていたのですが、その理論が大きく覆され、音楽の起源説が書き直されたほどでした。八部合唱はブヌン族が耳打ち祭りの後、来年の豊年祭も滞りなく開催されることを祈祷する時に歌います。アワはブヌン族にとってとても大切な作物で、八部合唱の中でもアワ豊年祭を祈祷する個所があります。また、この八部合唱のハーモニーが来年のアワの出来を左右するといっても過言でないと考えており、この歌を歌う時には、全員が心を一つにし、他のメンバーと声を揃えることで、自然で美しい旋律を奏でることができると言われています。